2008/10/30

いちょう

重い腰をあげて医者に行って来た。数年前、新しく近くに開業した小さな診療所、普通のアパートをちょっと模様替えしただけで、なにか人の家を訪ねていく ような感じ。40歳前後のドクターと事務の女性が一人。彼にはなんでも「普通に」話せるというか、とにかく気楽にいつでもちょっとといった不思議な温かい 雰囲気が漂っている。いつもすいているというのもいい、最もほぼ一年半ぶりの訪問だったが。臭覚ないとか、腰がとか説明しただけで、ビールス性の風邪と言 われた。聴診器で心臓検査をしてもらって異状なし、鼻に入れる薬の処方箋をもらって、腰痛は専門病院に行くようにと紹介状を書いてもらって終わり。結局、 特効薬などなし、注射一本でなんて期待していただけにちょっと心細い感じが抜けない。まー、行ってきたということでなんとなく安心、これが 効くのかもしれない。




20度と異常な暖かさ、いいのか悪いのかわからない。でも、おかげで紅葉が素晴らしい。かさねて楓のことが惜しい、きっとすばらしいことになっていたのに。通りがかりの人も一声かけてくる銀杏、近所の子供が銀杏の実がほしいと尋ねてきた。どうやら学校でいろいろな木の実を集める課題がでたらしい。親と一緒に来たが、どうして実がならないか説明してあげた。オスとかメスとか、本当に理解したか疑問だが、この辺ではイチョウは珍しい、隣のばあさんが影になるから切ってくれと言った来たこともあった、落ち葉に苦情をいう、なんとくだらない常識人もいるし、いろいろと人間の了見の狭さというか浅はかさを眺めてきたイチョウ、78年にクリスティーネと一緒に銀杏を求めてやっとグラーツ郊外の老人のところで見つけて今のところに植えた。コンスティーが爪を磨いた跡がもう猫の手の届かないあたりまで上がって今でも残っている。素性がいいのか種類のためか細く長く天に向かう勢いが全く衰えない。千年寿命と言われているのが何よりも好きだ。家主となった息子にも、遺言の予告として、絶対切らないようにと伝えておいた。はたしていつまでこうして毎年紅葉して生き続けていくのだろうかと思いを馳せる。自然の営みの時間帯にちょこっと顔を出した程度の自分の生の短さと苦悩の長さを想う。丁度火星探検ロボットの映像装置部分の何かしらのソフトを担当してしていると、今日息子が言っていた。年明けにはESAC (欧州宇宙機関) に納品するためにスペインに出かけると。いったい、いつから彼がこんなことをしていたのか、ちょっと驚いた。最終的には火星への有人飛行時に使用するロボットの開発を目指しているらしい。十数年後にはきっと実現するよと笑いながら話す息子、臭覚を無くし腰痛でふらふらしている者には、夢の戯言のように聞こえた。



何を食べても味なし状態、でも食欲はふつう、お得意のシーフードスパゲッティー、人参やセロリもいれて健康食に仕上げる。味見する必要もないほどおいしそう、ではないか?