2007/12/25

ダークルーム

ついにプリントに漕ぎ着けた。正直言って決して楽しい仕事ではない。プリント作業やフィルム現像などがあまり好きではないという理由もあるが、狭い暗い部屋に一人、こつこつと何をしているかといえば、ネガを見て引き伸ばし機から投影される反転像のピントを合わせ適量の光をあてる、相変わらず赤い微光の中で露光された白い紙を現像液に入れる。闇に慣れた目はさしづめ絞り開放レンズといったところか、白い紙の上にやがて現れてくる像を凝視する。これぞと思う瞬間に紙を取り出し停止液へ、そして最後に定着液のバットに移す。これで写真という化け学が一応終了、暗室に光をともす。ここで初めて化学していた思考が停止して、そこに写っているいるものそのものを見入ることを強制される。全神経を吸い取られるようにその世界にのめり込まざるを得ない。とりわけそれがポートレート、さらに特別の意味を持っている場合、激しい状況の交錯が起こる。創造でもアートでもない唯の写真、しかし今こうして水洗バットの中で泳ぐ像はそれが唯の写真であることをはるかに超えて目の前にある。